遣らずの雨 上

食べれる物を体に取り入れ、
ゆっくりお風呂に入り、ハーブティーを
飲みながら寝る前に大好きな本を読み、
その日は寝付けないなりに、早めに
眠る事にした。



「おはようございます。」


『新名さんおはよう。
 あれ‥‥なんか今日いつもと違う?』


「えっ?そんな事ないですよ。
 沢山食べたから浮腫んでるかも‥
 なので伊達眼鏡かけてきました。」


前にも泣き腫らした目を隠す為に、
慣れないアイメイクをしてこうした事が
あったけど、今日は目は腫れてない
ものの、何となく守るものが
欲しかったのかもしれない‥‥


鞄をしまいながらも視線を感じた
その先に、どうしようもなく愛しい
人がいる。


呼吸を整えると笑顔を向けて頭を下げ
デスクに座り、さっそく溜まった業務を
こなす事にした。



今日が月曜日で良かった‥‥


いつもよりも多い仕事に、余計な事を
考えず打ち込めるから‥‥


問い合わせなどに目を通しながらも、
パソコン作業を進めていき、休憩時間
以外は1日中仕事をやり続けた。


『どしたの?月曜日からそんなに
 飛ばして。1週間は長いから
 ほどほどにね、お疲れ様。』


「大丈夫ですよ。お疲れ様です。」


うーんと伸びをして首をコキコキと
鳴らすと、私もキリのいいところで
作業を終える事にした。



もう今日は早く帰ろう‥‥。
流石に頑張り過ぎたから、佐藤さんの
言うようにこれだと体を壊してしまう


ブブッ‥


えっ?


デスクに置いたままのスマホの画面に、
酒向さんからのメールが届き、震える
手で開くと、目を見開いた。


《仕事が終わったら話したい。》


たった一言送られて来たメッセージを
どんな気持ちで送って来たのか
分からないけれど、怖くて酒向さんの
顔が見られない。


昨日の今日で、まだ心の準備が
できていないけれど、この先もずっと
逃げて向き合わないわけにはいかない。


返信しないといけないのに‥‥
手が震える‥‥‥


荷物とスマホを手に立ち上がると、
息苦しくてその場を離れ、急いで
一階に向かうと、外の空気を思いっきり
吸い込んだ。


こんな事でどうするの‥‥‥。


向き合う事すら出来なかったら、
また周りを苦しめる事になってしまう


もうこれ以上自分の事で、誰かが
傷付いたり悲しい思いをするのは
見たくないのに‥‥‥