拾いました。

遡ること30分……――。


私たちはバスに乗り、街へ向かっていた。その間も、緋刻はそわそわしたままで。ちょっとでも目を離せば、飛んでいきそうな位にはしゃいでいた。


「華留……、あれ何?」

「あれは? あ、これも……」

「華留ー……」


そして質問攻め。


「緋刻、気持ちはわかるけど今はちょっと静かにしててね」


『周りの人の目が痛いから』は、そっと喉の奥へと沈めておいた。


「はい……、ごめんなさい」


暫くは素直にシートへ座り、しゅん、としていた。が、その後は。動かないまま、瞳だけをきらきらとさせている。子どもみたいで、可愛い。


「ご乗車ありがとうございます。次の停留所は……」


そうこうしているうちに、バス内でアナウンスがかかった。


「あ、次で降りるよ緋刻」

「……うん、分かった」


まだバスに乗っていたいのか、少し残念そうな顔を浮かべる。


「帰りもバス乗るから。ね?」

「ほんと……?」

「うん、本当」


そう言うと、ぱあっと顔が明るくなり満面の笑みになる。


「ありがとう……、華留」


この笑顔、もはや犯罪級。