拾いました。

数十分後。


「……」


私は絶句していた。開いた口が、塞がらない。


「本当に緋刻、なの?」

「うん、そうだけど変かな……?」


いや、変どころか。どこの美少年なんだと聞きたい。髪はセットされて、ワックスではねさせている。服はスーツ。一体どこへ行く気なのか。パーティーに行くわけじゃないよ?

一方の私は、先ほど決めた薄いピンクのワンピースを着て、ネックレスをつけ髪を巻いただけ。


「……」


……ああ、自分が惨めに感じる。


「華留……?」


何も言わずに、ただ緋刻を見て、落ち込んでいる私を不思議に思ったのか、首を傾げて覗き込む。


「な、なな、なんっ、何でもないよ?!」


やばい、どうした私。


「華留……いつもより、もっと可愛くなったね……」

「そ、そう? 冗談でも嬉しいな。ありがとう」

「ううん、冗談でも嘘でもないよ……凄く可愛い……。ふわふわの髪も、その服も……」


にこ

その笑顔、今は本当にやめてえええええええええええ!!!! …………どうすれば良いのですか。息が上がって苦しいです。早く出掛けよう、うん。心臓が持たなくて、倒れそうだ……。


「お母さん、お父さん、行ってきまーす!」

「「行ってらっしゃい! 気をつけてね~」」


くるり


「華留……、行こう」


緋刻が後ろを向き、笑顔で言う。連れてくのは私だよ? 緋刻くん。でも、緋刻の柔らかい笑顔が。幸せそうだから、良いかな。


「うん、行こっか!」


またひとつ緋刻を知れる気がして、わくわくする気持ちを静めながら。