拾いました。

そんなことを考えている内に、お父さんを落ち着かせるのは終わったようでして。


「ふぅ。ごめんなさいね、待たせてしまって。お父さんの代わりに、私が聞かせてもらいますから」


良かった。お母さんとなら、落ち着いて話ができそう。


「まず、名前を教えてくれるからしら」

「あっと、私が教えるね!彼の名前は、緋刻くん」

「学生さんかしら?」

「う、うん。」

「歳はいくつ?」

「じ、18歳」


だめだ。ちゃんとお母さんの顔が見れない。そりゃそうか、嘘つくことなんて、今までなかったもの。


「そう。……ねえ、華留?」

「は、はい?」


声がうわずってしまう。


「今の、全部嘘ね?」


何ということだ。


「……はい」


全部ばれていた。


「華留はねえ、嘘つくの下手中の下手なのよ? 見ていたら、すぐに分かるわ」

「か、返す言葉もございません……」


自分の阿呆さを痛感する。


「どうして、嘘なんて言ったの?」

「そ、それは……」


言えない。

“緋刻が実は狐で、でも人間で。何て言ったら良いのか、分からなかったから”なんて。第一そんなことを言われて、簡単に信じられるものか。否、私なら、聞いた瞬間卒倒する自信しかない。いや、卒倒しなかったけども! 親の立場で考えたらの話でね?!


「言えない様な、奴なのか」


今まで黙っていたお父さんが、口を開く。


「華留が好きになった人なら、と思ったが。親に紹介も出来ないような人と付き合うなど、許さん」


「待ってお父さん! この人は「言い訳は聞かん。出ていってもらいなさい」


どく…っ

どうしよう。どうして。どうしたら。

喉に詰まった言葉が出てこない。


「お父さん」