拾いました。

「そう、緋刻。貴方の好きな緋色と……過去がないなら、新しく作れば良いの。だから、時を刻んでいくっていう意味を込めて“緋刻”……どう、かな?」


我ながら、くさいことを言ったと思う。はたして彼は、気に入ってくれるだろうか。返事を聞くの、高校の合格発表より緊張する。

ぽろっ


「え…っ」



ぽろぽろ

大きな瞳から止めどなく流れる雫。涙も綺麗だな……。なんて考えてる場合じゃない!


「え、え?! 何で泣い「ありがとう」


ぐっ


右腕を引っ張り、本日何度目かの抱擁。

口がっ、首元にっ、当たってる——っ!


「華留、ありがとう……っ」


どうしてそんなに。……ごめんなさい。私、酷いこと沢山言ったのに。何で、こんなに優しいの? 私なんかに、優しくしてくれるの?

ああ、いまさら謝って許してくれるだろうか。いや、関係ない。悪いものは悪いんだから! 怖い、けど……ちゃんと言おう


「ひ、緋刻……」

「ん…?」

「酷いこと沢山言って、ごめんなさい。貴方を、傷付けて。本当に……、ごめんなさい」

「……ううん、謝らないで? その気持ちだけで充分すぎるよ……」


そうしてまた、私の首元に顔を寄せる


「ありがとう、ありがとう……」


何度も『ありがとう』と繰り返す震えた声に、私も少し涙が込み上げてきた


「……いーえ」

「ありがとう、華留…」


ぎゅぅうううう……っ

さらに強く、だけど少し怯えを感じる抱きしめ方。

お礼を言うのはこっちの方だよ。


「ありがとう、緋刻……」


それでも素直になれない、不器用な私は、小さな声で呟くのが精一杯らしい。