「…………」
沈黙が流れる。
私の心臓は早鐘のようにバクバクしていた。 この静かな部屋の中でこの距離だとあの人に聞こえるんじゃないかと思うと心音の加速は止められなかった。
3年目にして初めて会うあの人の部屋にいるが、世間体では見ず知らずの人の家に泊まらせてもらっている状況だ。普通では無い。
あの人はもしかしたら未成年誘拐罪に問われることになるのだろうか、今頃私は捜索届けを親に出されているのだろうか。そんな不安がまた頭の中をぐるぐるし始めて眠気なんて無くなってついに目を開けてしまった。
あの人と目が合った。視線が交差した。
綺麗な顔だった。
イケメンとか、かっこいいとかそういう類に分類するのは私の性格的に嫌だけど見たら落ち着くような優しい顔立ちで正直に言うとすぐに好きになった。いや、もっと好きになった。
顔がどんどん火照るのを感じる。
今まで声と名前と話し方だけで意識していた部分に顔が加わってもっと、この人に関わりたい触れていたい抱きしめたいと思った。
まだ年齢的に幼い私は、こんな自分を助けてくれた人に惹かれないわけがなかった。
思い返せば、会う前から、ネットで出会った3年前から好きな気持ちはうっすらあったのだと思う。