彼に少し驚いたような顔をしたあと、すぐに何事も無かったような顔で
「そっか。じゃあしばらくこうしていよう。」
と言い私の背中に腕を回した。
私は彼の鼓動を胸で感じながら、私のドキドキが伝わっていませんようにと考えていた。
しばらくして彼がモゾモゾと動き出したのでどうしたのかと顔を見ると彼もちょうど私の顔を見たところだった。
しばらく視線が交差した。
自然と唇に視線が集中した。
彼の瞳の中に映る私が見えた時、彼がはっとしたように私を引き離した。
今私何しようとしてた?と動揺する私と裏腹に彼は冷静に、
「今日は別々で寝れるよね。
はなちゃんは俺のベッド使っていい。俺はリビングで寝てるから、何かあったらいつでも呼んで。」
今日も一緒に寝るんじゃなかったのかと少し落ち込んだが、疲れているだろうし、と思い頷いてベッドに移動した。
おやすみなさいを言っていないと思い出し、再度彼のところに行っておやすみを告げると、彼は予想もしていなかった言葉を告げた。
「俺だって男だから、その…やっぱなんでもないよ。さっきのあれはほんとに忘れて。忘れないと怒る」
さっきのあれとはちゅーしようとしていたことだろうか。私は忘れたくなかった。画面を通り越して好きな人にあんなに近づけることは初めてだったから今でも心臓がドキドキしていた。
「私は、忘れたくないです。」
彼の顔を覗きながら言った。冷たくあしらわれるかと心配したが彼は
「そうだよねはなちゃん俺のこと大好きだもんね笑」
と笑いながら私の頭を撫でた。
彼が言う大好きとは多分、子供が遊んでもらった大人に大して抱く‘’好き‘’と同じ意味なんだろうな思い、訂正しようとしたが理性が踏みとどまって
「そう、私は○○さんのこと大好き」
口に出して言ってみると案外スラスラ言えるもので告白でもなんでもなかったがまた顔が熱くなった。心做しか彼の顔も赤く見えたが暗くてよく分からなかった。