そういえば家から出る時、スマホとイヤホンだけをポケットにつっこんできたから服以前に下着すら何も持ってきていない。お風呂の後どうしようかと迷っていると彼は自分の部屋着を上下貸してくれた。下着は使い回すしかないけど、使い回すのも衛生的に悪いので明日には買いに行こうと思い、
「あの、明日って空いていますか?ちょっと色々と買い物に行きたくて………服とか」
そう訪ねる私に彼は
「あー君ー。俺ん家に居候する気だな。悪い子だ。」
また意地悪く笑いながら言う彼は。メッセージで話してる時と変わらなかった。
「……………ごめんなさい。少しでいいのでここに置いてください、お願いします………。」
膝をついて懇願する私に、そんなこと本気で思ってないしいつでもいていいから、あと服買いに行こう!と慌てて言い直す彼がおもしろくて新鮮で少し笑ってしまった。
「あ、今笑ったでしょ。」
「笑ってないし。」
いつの間にかくだけた雰囲気になって、私も変に気が緩んでいて、脱衣所に2人でいるのに服を脱ごうとしてしまった。あの人が慌てて言わなければ気づかなかっただろう。
大失態をしでかした私はまた顔に血液が集中していくのを感じ、無様のものをすみません!とひたすら謝りながら脱衣所のドアを閉めた。
高校生なんてあの人からしたらがきんちょだしこんな自分なんてあちらからしたら何とも思わないだろうなと少し悲しくなったが、扉の反対側では彼が少し顔を赤らめていたことに気づかなかった。