最後の一口というところで、

「はなちゃんさぁ、メッセージの中ではあんなにおしゃべりなのに対面ではあんまり話さないね。緊張してる？安心しなよここには誰も来ないし俺たちだけだから。」

口を開いてそう言ったあの人の目は、確かに私自身を見ていてそんな真っ直ぐな目で見られると内心動揺した。
「少し、…………緊張していて……
でも色々とありがとうございます。急に来てごめんなさい。」
真っ直ぐに目を見れなかった私は空になったプリンの容器を見つめながらそう言った。するとあの人は私の頭を撫でながら
「来る分には全然いいけど、落ち着いたら何があったかちゃんと説明してね、俺も色々危険なことを犯しているわけだし。」
そうだよね、一応未成年誘拐になるのかなとぼんやりと考えていると彼は片付けをし始めた。私も慌てて立ち上がったけどうまく立てなくてバランスを崩して無様に尻もちをついた。さっきから恥ずかしい姿しか見せていない自分が嫌になりながら立ち上がろうとすると目の前に手のひらが現れた。
「ほら。はよ立ち上がり。
まったくもうはなちゃんは泣き虫でどんくさいね。」
そんなに弱くないしと思い、腹が立ったふりをして手を借りないで立ち上がった。

「そろそろお風呂に入らないと。
一緒に入ろうか？」

にやにやしながら言う彼に、冗談だと分かっていてもうまく受け流せずまた赤くなる私をあの人はからかった。いつもからかわれていたけど、リアルに会ってからかわれるのも不思議と心地よかった。