ラブソードから 「ノリオくんのクリスマス」

　手を合わせ拝んでいましたが、殿様は初めて知るサンタクロースの存在に首を傾げています。

「赤いちゃんちゃんこを着た異国の老人？　敬老の神様かの」

　お姫様はプレゼントを配る話を詳しく聞くと、とても喜び褒めていました。

「年末にとても素晴らしいイベントですね。城下の者もさぞ喜ぶでしょう」

　笑顔でのっぺらぼう達の頭をなぜると、ろくろっ首と手を繋ぎ飛び跳ねています。
　殿様はお姫様が他の男性を褒めたことに、残念な気持ちになりました。
　ジェラシーな気分です。

「よも協力するぞ。左近時、プレゼントの用意を。よの子供の頃から貯めたお年玉貯金を用意せよ」

「ははっ」

　お姫様は喜び、前に出ます。

「殿。私も協力させて下さい。城下の暮らしも拝見したいですし」

「うむ」

　お付きのものが千両箱を準備すると、いそいそと殿様の着物を着替えさせました。

「ぬぬっ何じゃこの衣服は」

「はっ、隠密に行動をされるのであれば、普段の着物では素性がバレると思われます。この黒い羽織袴とほっかむりをされてみてはいかがでしょ」
　
「う〜む。そうかの？　まあ、お主に任せるぞ」

　お姫様も桃色の羽織袴に着替えています。