ラブソードから     「ノリオくんのクリスマス」

 天守閣で黄昏ていると、何処かで聞き覚えのある声がしました。

「こんばんわー とても偉いお殿様」

 殿様が声の方に視線を向けると、そこには空に浮かぶノリオくん達がいます。

「おっおーお主は不思議な妖術を使うノリオ少年ではないか。今そちの噂をしておったところじゃ。それにしても、一体どうやって浮いておるのだ」

 お姫様は妖怪達に久しぶりと、笑顔で手を振っていると、ノリオくんは自分の足元を観て答えます。

「浮いている? この宝船が、見えないのですか?」

 どうやら殿様達には宝船も、神様達の姿も見えない様です。
 ノリオくん達と殿様の間を、小さな風が吹きます。

 ヒュルルルー

 毘沙門天が風を目で追い、困った表情を浮かべていました。
 すると殿様達の前には宝船と、七福神の姿が見える様になっています。
 殿様達は怯えるように目を伏せ、慌てて床に手を付きました。

「うわー神様だ。姫、観てはならずぞ。バチが当たる」

 ノリオくんと妖怪達は目を合わせます。ろくろっ首が誤解を解くように言いました。

「大丈夫でありんす。この方達は幸福をもたらす、七福神様とサンタさんでありんす」

「七福神と三太さん?」

 顔を伏せていた殿様とお姫様が顔を合わせていると、ノリオくんが声をかけます。

「これから城下の町に降りて子供達にプレゼンントを配りに行くのです。それではみなさん。良いお年を」

 飛び去ろうとする宝船を、お姫様が引き止めました。

「お待ちにノリオ少年。しばし話しを聴かせ下さい」

 言われるがまま宝船を中庭に下ろすと、殿様達はまじまじ見る七福神に、感動を覚えます。

「なんと神々しい」