ラブソードから     「ノリオくんのクリスマス」

 羽衣をまとい琵琶を持った、弁財天が声をかけます。

「悪い事をしてしまいました。ぜひ我らもそのプレゼント配りに協力させてもらえませんでしょうか」
 
 サンタは困った顔で説明します。

「ペラペラ、ペラペラ、ペラペーラ」

 サンタの話では宝船から逃げる際、子供達に渡すおもちゃのプレゼントを落としてしまったと話しています。
 空飛ぶソリも電動アシスト付のため、バッテリー充電に二十四時間かかるとも話します。

 のっぺらぼうとろくろっ首は、プレゼントの会話が聴こえると、大事なけん玉やお手玉を取られると思い、急いで後ろに隠しました。

 ノリオくんは、そんなことできないっと優しく顔を振り、どのように問題を解決していいか考えます。

「そうだ、この山でとれた里芋や、家庭菜園の人参を配ったらどうだろ」

 腰に鹿のぬいぐるみをぶら下げた寿老人は、それは良い考えじゃっと、太鼓判を押すように手を打ちます。

「うむ。プレゼント配りも、この宝船を使ってくれ」

 皆がいい案だと頷くと、傘お化けは自らの傘を開き、フワーっと跳び上がります。
 そして屋根から吊るした干し柿や大根を持って来ました。

 ノリオくんは「それもきっと喜ぶよ」っと、笑顔を向けます。
 ワイワイガヤガヤと、みんなが笑顔になります。

 ろくろっ首は庭先に置いた、発泡スチロールの容器を笑顔で指差しました。
 そこには栽培したプチトマトが三個実っています。
 ノリオくんは「小さいし数が少ないから」っと、首を降ります。

 のっぺらぼうは、台所の蛇口横に置いてある、かいわれ大根を背伸びをしながら手を伸ばしています。
 ノリオくんは「分けようがないから、それはそのままにしとこうか」っと声をかけ汗を垂らしていました。