ラブソードから     「ノリオくんのクリスマス」

 ノリオくん達を見て「メリークリスマス」っと言葉をかけます。
 毘沙門天は、ムッスッとへの字口のまま、経緯を説明します。

「この者はスマホの地図アプリを見ながら。いわゆる、ながらスマホで空飛ぶ小舟を運転していた。しかもヘルメットも被っておらぬ。怪しいと思い捕まえたのだが、日の本の言葉が通じなくての」

 ろくろっ首は左右を見て誰も答えないことを確認すると、手を上げました。

「お任せでありんす」

 一歩踏み出し少しハニカムと、今までの勉強の成果を見せるため、異国の言葉で会話を試みます。
 
「アイキャンノット、スピーク、イングリッシュでありんす」

 どうやら、私は英語がしゃべれませんっと言っているようです。
 緊張を解くように息を吐くと、安心した表情で振り返リます。

 今度は僕の番だと、のっぺらぼうが腕まくりをしながら近づいていきます。
 老人の前に立ち止まると、握り拳で力強く言いました。

「クック、デゥデゥルデゥー」

 のっぺらぼうは、異国の鶏がこのように鳴くものだと認識しているようです。
 戻りながらろくろっ首とハイタッチを交わすと、今度は傘お化けがカランコロンっと下駄を鳴らし前に出ます。

 そして一点を見つめ、異国の老人の上に小さな雨雲を作りました。
 ノリオくんとお地蔵様に化けた狸は、不思議そうに観ています。

 傘お化けの能力。通り雨で、老人目がけ雨を降らせました。
 皆は喜び、あ互いを称え合っていると、狸は「やれやれ」っと、思わず口を開きました。

「Tell me what kind of person you are」

 流暢な外国語に、皆はそれが言葉だとは理解できませんでした。
 きっと寝言を漏らしたのだと思い、覗き込んでいました。