ろくろっ首は、宝船に乗る神様が誰であるのか悟り、喜ぶ表情でつぶやきます。

「七福神様でありんす」

 滅多に人や妖怪の前に姿を表すことのない、幸福の神様達です。
 宝船が目の前に着陸すると、船からは神様達が降りてきます。

「ほーほーほー。人間の子供や、精が出るのー」

 声をかけたのは頭部が長いハゲ頭で、白髪の眉毛と髭を伸ばした福禄寿です。
 ノリオくんは初めて見る神様に、緊張しながらも答えます。

「はい。もうすぐ今年も終わります。新年に神様を迎え入れるため、今から少しづつ大掃除をしています」

 次に船から顔を出したのは、頭巾を被り、大きな袋と打出の小槌を持った、大黒天です。

「ほー良い心がけじゃ」

 船から神様達が続々と降りてくると、最後に船から顔を覗かせた強面の神様が言いました。
 
「お主ら、西洋の言葉を話していたな。ならばこの者と言葉を交わすことはできるであろう」

 そうキツく話すのは、鎧を纏った毘沙門天でした。
 毘沙門天は縄で縛った異国の老人と、見た事もない種類の鹿を連れて降りてきます。
 老人は真っ赤な服装で赤い帽子を被り、大柄で福よかな体型をしています。