ラブソードから     「ノリオくんのクリスマス」

「人間の者よ、悔やんでおるのか」

 その声は空飛ぶ宝船の横に広がる、大きな雲の壁から聞こえます。
 意識しながら雲を抜けると、宝船の横には人の何倍もある大きな鬼の姿に似た緑色の神が現れました。

 風を司どる神、風神です。
 皆がその姿に驚くと、目をギョロッと向け殿様を睨みます。怖がるお姫様、左近時と目を向けた後、ノリオくんに視線を向けました。

「人間の子供。お前もこの者と同じ気持ちか?」

 七福神とは違う恐ろしい容姿に、ノリオくんも声を詰まらせます。

「新年を迎えるのに、何だか……」

「お前の目に映ったものが現実であろう」

 本来なら自業自得だと言い放つところですが、風神は普段から風となり、ノリオくん達の行いを見ていました。
 物を大事にし、生きる事。全てのことに感謝する子供達には、それ以上の言葉を続けることはありませんでした。
 大黒天が言います。

「どうじゃ風神よ、ここは我ら神々が、反省する人間どもに免じてプレゼントっと言う贈り物をしてみては」

 風神は沈黙しながらも、妖怪達のスッキリした表情をみて考えます。

「仕方がない。良き行いをする者も知っている。その者に善意を魅せぬのは、神とし存在する我らも罪になるかもしれぬ」

 風神は空に止まると、両手で持つ大きな袋から、とても冷たい風を吹かせます。
 風は空に浮かぶ水分を氷の結晶へと変化させ、町全体に真っ白な雪を降らせます。