ラブソードから     「ノリオくんのクリスマス」

 振り返り目が合うと、女の子は殿様や妖怪達。真っ赤な衣服を着る異国のサンタクロースの姿を見て、手に持つ折り紙で出来た人形を守ように抱きしめます。

「お化け?」

 サンタクロースはプレゼントを渡したく、自分のポケットに手を入れ確かめましたが、残念ながら出てきたのは、コンビニのレシートに包まれた一円玉だけでした。

 ろくろっ首は近くに寄りしゃがむと、大事に持ち歩くお手玉を懐から取り出し、そっと手渡しました。

「違うでありんすよ。お化けではなく、妖怪でありんす」

 のっぺらぼうも、少しうつむき考えていましたが、女の子が大事に持つ人形を見て、はつらつとした声色でけん玉を渡します。

「あげる。みんなで遊べ」

 女の子は、お手玉とけん玉を手にし喜びました。

「うわーありがとう」
 
 聞こえる会話に夜回りの者が再び戻ると、提灯を向け叫びます。

「誰かいるのか。泥棒か?」

 お地蔵様に化けた狸が機転を効かせ誤魔化します。

「ニャーニャー」

「なんだ猫か」

 皆が息を吐き安心すると、お地蔵さんに化けていることを忘れ、親指を立てGOODポーズをしてしまいます。少し目元が色男です。
 のっぺらぼうも協力しようと気を効かせました。

「クック、デゥデゥルデゥー」

 ですが火消しには誤魔化すどころか、逆に怪しまれます。

「ドロボー」

 サンタとノリオくん達は急いで宝船に向かい走り出しました。