ラブソードから     「ノリオくんのクリスマス」

 お殿様が準備している間、のっぺらぼうは、中庭にある池を除き興味を示します。
 そこは以前ラブソードを捨てた場所でした。

 手を叩くと、寄ってくる豪華な錦鯉達に喜んでいると、眩しいほどの光を放った女神が突如現れました。
 手には金色と銀色に光る剣を持っています。

「あなた達が落としたのはこの金のラブソードですか、それともこちらの銀のラブソードですか」

 どうやら投げ捨てたラブソードを拾い、池の女神がのっぺらぼうが正直者か試している様でした。
 のっぺらぼうは、女神を見つめ答えます。

「違う。持ってる」

 懐からオタ芸で使うサイリウムを見せると、池の女神はどう答えていいか困っていました。

 お付きの者は黒子の衣装で、顔の前に布を垂らします。
 千両箱をかつぎ宝船に乗り込むと、再び宝船は空に浮かんで行きました。


 向かった深夜の長家はとても静かなものでした。
 みんな寝静まりプレゼントを渡すには絶好のチャンスです。
 七福神とノリオくん達は、二手に分かれました。

 配り終わったら、再びこの場所で落ち合おうと、長屋の入り口に宝船を停めました。
 ノリオくんは子供達が喜ぶ事を想像し、期待を膨らませます。
 サンタクロースは、自信に溢れる表情で「ペラペーラ、ペラペーラ」っとノリオくん達にアドバイスをしている様です。

 殿様とお姫様。左近時は、新年を迎えるため忙しない暮らしを楽しみにしています。
 部屋に入ると、クリスマスツリーもプレゼントを入れる足袋はなく、サンタはそのことに困っていました。
 ノリオくんは狸を通しサンタに説明をします。

「しょうがないよ。日の本では初めての行事だから」