むかしむかしの江戸時代。
 ラブソードの一件から村に戻ったノリオくん達は、将来のため勉強の日々を送っていました。

 近くには今まで通り、のっぺらぼうや、ろくろっ首。傘お化けに、お地蔵様に化けた狸がいます。
 今も楽しみながら外国の言葉で自分を紹介し、バトンを渡すように顔を向け合っています。

「マイネームイズ、ノリオ」

「マイネームイズ、ろくろっ首でありんす」

「僕、のっぺらぼう」

 無口な傘お化けは、沈黙の後、全員でお地蔵様に化けた狸に注目しました。

「……」

 狸も参加したかったのですが、正体がばれてしまうと思い、我慢していました。
 もちろん、お地蔵様が狸であることは、みんな知っています。
 そんな日常を送るノリオくんの元に、小さな風が通り抜けました。

 ヒュルルルー

 ノリオくんは吹き抜けた風を意識します。
 神様が今、目の前を通過したのだと思い、空を見上げていました。

 八百万神の国、日の本では、神様が至る所に宿っていると言われています。
 それは物であったり、自然や場所であったり、時には食べ物であったりもします。
 だから皆、ものを大事に、食べ物に感謝し粗末にすることはありませんでした。