一輪のバラード


足元では、マロが絃士さんに向かって吠えていた。

嫉妬をしているのか、それともわたしが泣いているので、絃士さんがわたしをなかせたと思っているのか。

絃士さんはマロを抱き上げると、「いつもマロがひかりさんを独占してるんだから、たまには俺にもひかりさんとの時間をくれよぉ。」と言い、まるで絃士さんとマロがわたしの取り合いをしているようで面白かった。

マロはわたしの方へ来たがり、わたしが抱っこしてあげると、わたしの頬を流れる涙を舐めてくれた。

「マロ、慰めてくれてるの?ありがとう。でもね、悲しくて泣いてるんじゃないんだよ?嬉しくてないてるの。」

そう言い、わたしはマロを抱きしめると「わたしたち、4人家族だからね。」と言った。


その後、わたしたちは入籍をし、わたしは"桜ひかり"から"樋井ひかり"になった。

紙一枚のことだとはいえ、戸籍上の本当の家族になり、今まで家族が居なくて1人だったわたしには、一気に家族が3人も増えた。

「マロ〜!寝るよ〜!」

そう言うと、マロは走って寝室へ入って行き、ベッドの上でわたしを待つ。

そして、いつものようにわたしが先に布団に入ると、あとからマロが入ってきて、わたしの腕枕で眠るのだ。

「マロ、おやすみ。マル、おやすみ。」

そのあと、絃士さんが寝室に来て布団に入って来る。

「ひかりさん、今度一緒に指輪を買いに行きましょう。マロには内緒で。」

そう言って絃士さんは微笑み、嫉妬するマロにバレないようにわたしたちはキスをした。

わたしには、大切な家族が出来た。

そして、毎日大好きな人たちと一緒に居られることは幸せなことだ。

いつもの毎日があり、明日がやってくるのは奇跡の連続。

この世から、悲しい瞳をする動物たちがいなくなればいいのに。
殺処分される子たちがゼロになればいいのに。

そう願い、わたしはマロとマルを抱きしめ、絃士さんに抱きしめられながら眠りについたのだった。




―END―