「マロ〜!迎えに来たよ〜!」
わたしはそう言って、黒いダックスフントに駆け寄って行った。
「マロ?」と不思議そうな表情をする絃士さん。
「はい、実は仕事中にこの子の名前を考えてました。そしたら、マロって名前しか思い浮かばなくて。眉のところだけ丸く茶色になってて、麿みたいじゃないですか?」
わたしがそう言うと、絃士さんは「なるほど。」と笑った。
「マロ、お家に帰るよ。」
そう声を掛けると、マロはわたしを覚えていてくれたのか、微かに尻尾を振ってくれた。
ゲージから出されたマロは、段ボールで作られた籠に入れられ、わたしたちの元にやって来た。
「マロ、今日からよろしくね!」
そう言って、わたしはマロが入った籠を抱える。
マロは、まだ少し"信じてもいいのかなぁ"とでも言うような表情で、耳をペタンと下げした。
そして、わたしたちはマロを連れ、お店を出て車に乗り込んだ。
「ねぇ、絃士さん?さっき銀行に寄ってましたけど、いくら振り込んだんですか?」
わたしがそう訊くと、絃士さんはフフッと笑いながら「内緒です。」と言った。
きっと絃士さんのことだから、愛護センターに結構な金額を寄付したのだろう。
「マロ、これからお家に帰るからね。今日から家族だよ!」
わたしは自宅に到着するまで、不安そうなマロに声を掛け続けた。



