「この子を、家族に迎え入れてあげませんか?」
「え、いいんですか?」
「うちのマンションはペットOKですし、何よりこの子がひかりさんの事を求めているように見えるんです。こんなにたくさんの保護犬がいて、みんなを救ってあげたいところですが、、、この子だけでも、家族に迎え入れてあげましょう?」
「絃士さん、、、ありがとうございます。」
そして、わたしたちは黒いダックスフントを家族に迎え入れることに決めた。
愛護センターのスタッフには、「今、実は勤務中なので、仕事が終わってから迎えに来てもいいですか?」と伝え、先に書類だけ記入して行くことになった。
わたしが書類を記入している間、絃士さんは愛護センターのスタッフに「寄付をしたいんですけど、振込先教えていただけますか?」と訊いていた。
黒いダックスフントが入っているゲージには"家族が決まりました"の紙が貼られ、わたしは仕事に戻る前に、その子に声を掛けた。
「あとで迎えに来るから、待っててね。絶対に迎えに来るから。約束。」
そう言って、寂しげな瞳に見つめられながら、わたしは後ろ髪を引かれる思いで仕事に戻ったのだった。
そして、仕事が終わったのは18時手前。
少し残業になってしまった。
「すみません、こんな時間まで仕事をさせて。」
「大丈夫です。わたし、社長秘書なんで。」
「僕の恋人でもありますけどね?さぁ、早くあの子を迎えに行ってあげましょう!」
「はい!」
それからわたしたちは、先にアイネス内にあるペットショップでゲージやペットシート、ドッグフード、リードなど必要な物を買い揃え、車に荷物を積んでから、急いであの子を迎えに行った。



