一輪のバラード


「お家でワンちゃん飼われてるんですか?」
「保護犬を飼ってたんですけど、今はもう亡くなってしまって、、、。同じダックスなので、つい目に止まってしまって。」
「あぁ、そうだったんですねぇ。この子は、今推定3歳くらいです。雨の日に公園のベンチにリードを繋がれて、震えながら座っているところを保護されたんです。きっと、飼い主さんが迎えに来てくれるのをずっと待ってたんでしょうね。」

愛護センターのスタッフさんの話を聞き、わたしは涙が出てきてしまった。

君は、飼い主さんが迎えに来てくれるって、信じて待ってたんだね。

寒い中、震えながら、、、お座りをして、、、

「とっても良い子なんですけど、でもこの子、右の後ろ足がないんですよ。多分、虐待を受けてたんだと思います。」

虐待をされても、飼い主さんを信じて待ってたの?

わたしはその子の健気過ぎる話に涙が止まらなかった。

この子に"愛情"というものを与えてあげたい。

愛してあげたい、、、でも、、、

そう思っていると、絃士さんが「ひかりさん。」とわたしを呼んだ。

「この子を連れて帰ってあげたいと思ってるんじゃないですか?」

絃士さんの言葉にわたしは言葉を詰まらせた。

目の前には、寂しそうな瞳でわたしを見つめる子がいる。

わたしは、今すぐ抱きしめてあげたい、そんな気持ちになっていた。