一輪のバラード


それからわたしは、今までマルと住んでいたアパートを出て、完全に絃士さんとの同棲が始まった。

リビングのちょっとしたスペースに、マルのお骨やマルが好きだったボール、ジャーキーなどをお供えさせてもらい、毎日仕事に行く時や帰宅した時はマルに声を掛けた。

そして、寝る前はマルの写真を抱きしめ、「マル、おやすみ。」と言ったあとに絃士さんからキスをされ、眠りにつく。

時には、寝かせてくれない時もあったが、それでも絃士さんと一つになる行為は心も身体も満たされた。


そんなある日の出勤日。

その日は店舗巡回がある日だった。

わたしはいつものように絃士さんに付き添い、店舗巡回をしていく。

すると、ペットショップが入っている某店舗の入り口前に「3階の催事場に愛護センターの場を設けています。」と書かれた看板が立てられていることに気付いた。

わたしがその看板を見つめていることに気付いた絃士さんは、「行ってみますか?」と声を掛けてくれた。

しかし、わたしは迷った。

行きたい、、、けど、マルを思い出して泣いてしまったら、どうしよう、、、

わたしは迷いに迷った挙げ句、「行きたいです。」と答えたのだった。