「このあと、お時間ありませんか?焼肉でも、どうですか?」
「あぁ、、、今日は、ちょっと、、、」
「何か予定でも?」
「予定というか、、、」
絃士さんがお弁当を買って来てくれる、、、
これは予定と言っていいのか?
「あ、もしかして、犬、、、マルちゃんでしたっけ?その為に早く帰りたいとか?」
颯さんの言葉に、わたしは黙り込んでしまった。
すると、颯さんは「じゃあ、お話だけでもいいので、させていただけませんか?」と言い、わたしは「分かりました。」と答えると、颯さんの車の助手席に乗り込んだ。
颯さんは車を出すと、あまり人目の無いすぐ近くの広い公園脇に車を停めた。
「、、、話って、何ですか?」
わたしがそう訊くと、颯さんは「ひかりさん、最近仕事お休みしてましたか?」と言った。
「はい、、、1週間程、お休みをいただいてました。」
「体調でも悪かったんですか?それなら、僕が診てあげたのに。」
「いえ、、、体調が悪かったのは、わたしじゃないんです。」
「えっ?」
「マルが、、、亡くなったんです。」
わたしがそう言うと、颯さんは「えっ?!」と驚き、何と言葉をかけて良いのかと迷っている素振りを見せた。
「それで、心の整理の為にお休みをいただいていたんです。最近やっと、仕事に復帰したばかりで。」
「、、、そうだったんですね。」
車内には複雑な空気が流れ、しばらくの間、わたしたちは何も言わず、ただ黙ってどちらから口を開くのかと探り合っているような状態だった。



