一輪のバラード


そういった生活が1週間も経つと、わたしはまだ心の整理が万全とは言えないが、仕事復帰が出来るまでになった。

しかし、まだマルと暮らしていた家に帰る勇気はなく、もうしばらく絃士さんの自宅で生活をさせていただき、絃士と共に会社に出社するようになった。

基本的には、社長室にこもり、パソコンと向き合う仕事が多く、お昼になれば絃士さんと共にラーメンや定食を食べに行き、それからまた仕事に戻るという、今までの生活サイクルに戻っていく。

そして、定時になり、わたしは今日の業務が終了したのだが、絃士さんはまだデスクから離れられるような状態ではないようだった。

「社長、残業ですか?」
「あともう少しかかりそうですね。ひかりさんは、先に帰ってゆっくりしていてください。」
「じゃあ、先に帰って夕飯の支度でもしましょうかね。」
「疲れてるんだから、大丈夫ですよ。僕が何かお弁当でも買って帰りますから。」
「じゃあ、お言葉に甘えて。お先に失礼します。」
「はい、お疲れ様です。」

わたしはバッグを手に社長室から出る際、「美味しいお弁当待ってまーす!」と言い、絃士さんを笑わせると、社長室を出て会社を出た。

すると、会社の前に見覚えのある白いレクサスが停まっているのが見えた。

あのレクサス、もしかして、、、

そう思っていると、運転席から降りて来たのは、予想通り颯さんだった。

「どうも、お久しぶりです。」
「、、、どうも。」

会うのは、あの帰りにキスされて以来だ。