一輪のバラード


「どうぞ、座ってください。」

そう言いながら、絃士さんはスーツの上着を脱ぎ、ダイニングテーブルの椅子にかけた。

「お、お邪魔しまーす、、、」

そっとソファーに腰を下ろすと、程よい柔らかさのソファーにフカフカのクッションが背中を支えてくれる。

すると、絃士さんは「ひかりさん、ご飯ちゃんと食べてないんじゃないですか?ミネストローネを作ろうと思ってるんですが、トマト系の料理は食べれますか?」と訊いてきた。

「はい、食べれます。」
「良かった。食欲がなくてもスープなら食べられるかなぁと思って。今作るので、座って待っててくださいね。」

絃士さんはそう言うと、ワイシャツを腕まくりして、キッチンへと立った。

「絃士さんって、料理出来るんですね。」
「出来るって程でもないですよ。」
「わたしなんて、いつもコンビニで済ませちゃいますよ。」
「僕だって、たまにしか作らないですよ?ほぼ、外食で済ませちゃうことが多いです。」

そんな話をしながら、絃士さんは手際良くミネストローネを作り進めていく。

そのうちに良い匂いが漂ってきて、食欲がなかったはずなのに、食べれるような気がしてきた。

「はい、出来ましたよ〜。」

そう言って、お洒落なカップに入ったミネストローネを運んで来てくれた絃士さん。

「わぁ、美味しそう!」
「ひかりさんのお口に合うか分かりませんが、どうぞ。」
「では、いただきます。」

わたしはそう言うと、スプーンを持ち、そっとミネストローネを掬うと、火傷に気をつけながら口へと運んだ。