一輪のバラード


朝、わたしはスマホのアラームが鳴る前に目が覚めた。

「マル、、、」

わたしの腕の中にマルは居ない。

わたしは起きて、居間の方に行くとカーテンも開けずにソファーに腰を下ろした。

そして、棚の上に飾ったマルの写真を見上げる。

わたしは家の中に居ると、どうしてもマルの面影を探してしまい、マルとの思い出を思い出しては泣いてを繰り返していた。

そろそろ夕日が落ち始める頃。

わたしはスマホを手に取り、絃士さんに電話をかけた。

すると、絃士さんは3コール以内に電話に出てくれた。

「もしもし、ひかりさん?何かありましたか?」

絃士さんの声を聞き、なぜか安堵から涙が溢れてくる。

「絃士さん、、、」
「はい。」
「わたし、、、絃士さんのご自宅にお邪魔しちゃダメですか?家に居ると、、、マルのことを思い出して、、、泣いてばかりいて、ツラくて、、、」
「、、、いいですよ。では、もう少しで仕事が終わりそうなので、迎えに行きますね。」
「はい、、、すいません、、、」
「謝らないでください。それじゃあ、またあとで。」

そのあと、絃士さんは30分後に迎えに来てくれた。

わたしはバッグに必要最低限の物とマルの写真を入れると、もうお見送りをしてくれることのないマルの姿を探し、玄関のドアを閉めると、マンションを出て、絃士さんが待つ車へと乗り込んだ。