その夜、わたしは眠れなかった。
いつものおやすみのキスをしてくれるマルは居ない。
そばで寝息を立て、時にはいびきをかいたりするマルは居ない。
わたしの首と枕の間に鼻を突っ込んだりして眠るマルは居ない。
そして、何より、、、マルの温もりがない。
マル、、、わたし1人にダブルベッドは広すぎるよ。
わたしはマルと過ごした日々、マルの一つ一つの仕草、甘えん坊でいつもくっついて歩いて来た姿を思い出しては涙が止まらず、枕を濡らし、一晩中泣き続けた。
朝方、眠れなかったわたしはマルのそばに行き、「マル、おはよう。」と声を掛けた。
マルは優しい顔で眠っていて、昨日の出来事は夢だったんじゃないかと思わせる程だった。
あれは夢だったんだ。
マルは眠ってるだけだ。
そう思いたいが、マルを撫でると冷たくて、これは現実なんだと思い知らされた。
わたしはマルとの最後の時間をずっとそばで過ごした。
「マル、うちに来てくれてありがとね。わたしの家族になってくれて、ありがとね。マル、、、大好きだよ。」
すると、12時半頃にインターホンが鳴った。
涙を拭き、ドアを開けると、そこには絃士さんの姿があった。



