絃士さんがマルに会いに来てくれたのは、20時になる手前だった。
「すいません、わざわざ来ていただいて。」
わたしは泣き腫らした酷い顔で言った。
「いえ、ひかりさんの大切な家族ですから。」
そう言って、絃士さんは来る途中で買って来てくれたのか、数本の黄色い花束をわたしに差し出した。
「前に見せていただいたマルちゃんのイメージカラーが黄色だったので、黄色い花を買って来てみました。」
「ありがとうございます。」
わたしはマルのそばに行くと、「マル、絃士さんがお花を買って来てくれたよ。」と声を掛け、マルの回りにお花を散りばめた。
「まるで眠ってるだけのようですね。」
「そうなんです。だから、まだ信じられなくて、、、」
わたしは再び溢れてくる涙を拭うと、マルの眠っている姿を見つめた。
「火葬はいつですか?」
「明日の13時に出張火葬をお願いしました。」
「その時、僕も付き添わせていただいてもいいですか?」
「え、、、でも、お仕事ありますよね?」
「そんなのいくらでも融通がききます。僕の大切な秘書の、大切な家族のお見送りを、一緒にさせてください。」
わたしは絃士さんの優しい言葉に涙し、「ありがとうございます。」とわたしは両手で顔を覆い、声に出して泣いた。
絃士さんはそんなわたしの肩を抱き、何も言わずしばらくわたしのそばに居てくれた。



