一輪のバラード


わたしは仕事の支度を済ませると、ギリギリまでマルのそばに居た。

「マル、ごめんね。今日は会議が終わったらすぐ帰って来るから、待っててね。帰って来たら、病院に行こうね。」

そう言ってマルを抱きしめると、わたしは出勤の為に玄関へ向かった。

マルはいつもの軽い足取りではなく、ゆっくりとわたしのあとをついて来て、玄関先でお座りをした。

そのマルの表現は寂しそうで、わたしもそばに居てあげたい気持ちでいっぱいだったが、その気持ちをグッと堪え、「じゃあね、マル。いってきます。すぐ帰って来るからね。」と言うと、ドアが閉まるギリギリまでマルの寂しそうな姿を見つめ、ドアを閉めた。

わたしは出社すると、すぐに社長室に向かい、絃士さんに今朝のマルの様子を説明し、会議が終わったら早退させて欲しいとお願いした。

「それは全然構わないけど、大丈夫?会議なら何とかするので、今すぐ帰って病院に連れて行ってあげた方がいいんじゃないですか?」
「んー、、、でも、今日の会議は大事な会議ですし、、、終わってから、すぐに早退させていただきます。」
「そうですか?でも、心配ですね、、、。会議が終わったら、すぐに帰ってあげてくださいね。」
「はい、ありがとうございます。」

そして、そのあとわたしは急いで会議室へ行き、会議の準備を始めた。

マル、待っててね。
すぐ帰るからね。

そう思いながらも、わたしは自分の役割をこなし、会議が長引かないようにスムーズに進行させていった。

そして、11時。無事に会議は終了。

絃士さんは「片付けは大丈夫ですから、早く帰ってあげてください。」と言ってくださり、わたしは「ありがとうございます。それでは、お先に失礼します。」と急いで自宅へと向かった。