「今までは、ただ病気と向き合えばいい、治せばいいって思ってやってきましたが、それってただの自己満足だったんですよね。初めて患者さんから"光平先生が担当で良かったです"って言われた時、あぁ、医師をやってて良かったって、、、初めて感じて。ひかりさんのおかげです。」
颯さんはそう言うと、焼き上がったお肉をわたしのお皿に乗せた。
「わたしは、ただ思ったことを言っただけです。それをどう感じて、実行するのか、しないのかは本人次第なわけですから、それは颯さんが患者さんの心に寄り添えた証じゃないですか?」
「でも、ひかりさんに言われないと、俺はずっと気付けないまま、ただの病気しか診ない冷たい医師のままだったと思います。だから、ひかりさんには感謝しています。」
「そう言っていただけて、嬉しいです。」
わたしはそう言うと、颯さんが焼いてくれたお肉を食べ、ビールを喉に流し込んだ。
「今日は早めに帰りましょうか。家でワンちゃんが待ってるんですよね?」
「あら、そんな気遣いまで出来るようになったんですか?」
わたしの言葉に微笑む颯さんは、「心を入れ替えてから、更にモテてしまって、、、困ってるんですよぉ。」と冗談混じりに言った。
「それは良かったじゃないですか〜。選び放題で、モテる男は大変ですね。」
「んー、でも、一番モテたい人には、モテないんですよね〜。何でだろう。」
颯さんはそう言いながら、お肉を自分のお皿に取り、そのお肉を口へと運んだ。
そして、ウーロン茶を飲み干すと、「今の肉が全部食べ終わったら、帰りましょうか。」と言い、わたしは「そうですね。」と返事をした。



