一輪のバラード


「僕が会社を立ち上げたばかりの頃は、毎日カップラーメンばっかり食べてましたよ。」
「え、そうなんですか?」
「はい、しかも一番安いカップラーメンを。あの時は、余裕が無くて、、、ここまで来るのに苦労しました。」
「そうですよね、、、全員が全員成功するわけじゃないですし。でも、今じゃ全国的に有名なアイネスの社長さんですからね!社長を尊敬します。」

絃士さんは「いやいや、僕一人の力じゃないですから。助けてくれた人もいて、今があるので、感謝ですよね。」としみじみと言った。

そのうちにラーメンが運ばれてきて、絃士さんが割り箸を渡してくれ、「ありがとうございます。」と受け取ると、「いただきまーす。」と割り箸を割りつつ、絃士さんがラーメンを啜る姿をこっそりと見ていた。

その姿にニヤついてしまったわたしは、見ていたことが絃士さんにバレ、「あ、今見てましたね?」と言われ、わたしは笑って誤魔化すと、ラーメンを食べ始めた。

「ん!美味しい!」
「味噌も美味しいですよ。食べてみます?」
「あ、じゃあ、スープだけ貰っていいですか?」

そう言って、レンゲで絃士さんの味噌ラーメンのスープを掬い、飲んでみる。

「ん!味噌も美味しいですね!塩はどうですか?」
「じゃあ、スープをいただきます。」

そうして、わたしは絃士さんとラーメンのスープを交換して飲み合い、途中で"あれ?これ間接キスにならないよね?"なんて思ったりしたが、良い大人がそんなこと気にすることじゃない、とラーメンを食べ進め、完食したのだった。

昼食が終わり、午後の勤務に戻ると、わたしの作業内容の詳細の説明を受けた。

そんなこんなであっという間に初日は終了した。

絃士さんは「今日はお疲れ様でした。」と言いつつ、わたしにある物を差し出した。

「うちの会社で作ってるドッグフードとササミジャーキーです。マルちゃんがお気に召してくれるか分かりませんが、よかったらどうぞ。」
「え!いいんですか?!ありがとうございます!」

わたしはマルへのお土産をいただくと、定時きっかりに退社し、帰宅をした。