その日は、社内の案内と上層部の人たちへの挨拶で午前中が終わった。
13時頃になると、樋井さんが「お腹空きましたね。何か外に食べに行きましょうか。」と言った。
「そうですね。」
「ひかりさんは、何が食べたいですか?」
「んー、、、あ、質問返しで申し訳ないんですけど、樋井さん、、、じゃなくて、社長は、普段何を食べてるんですか?」
わたしがそう言うと、樋井さんは笑い、「無理に社長なんて呼ばなくていいですよ。」と言った。
「そんなわけにはいきません!」
「じゃあ、仕事以外の時は絃士と呼んでいただけますか?」
「仕事中は社長、その他では絃士さん。承知しました。」
「で、何を食べるかですよね。普段は定食屋に行ったり、ラーメンを食べに行ったりもしますよ。」
「えっ?!社長がラーメンですか?!全然似合わない、、、」
わたしの言葉に絃士さんは笑い、「そうですか?でも、よく言われます。」と言った。
「じゃあ、ラーメン食べに行きましょうか。ラーメン食べてる社長を見てみたいです。」
「何か見られるの前提で食べに行くなんて、食べづらいなぁ〜。」
そう言って笑いながら、絃士さんとわたしは会社周辺にあるラーメン屋へと向かった。
ラーメン屋に入るとテーブル席に座り、絃士さんは味噌ラーメン、わたしは塩ラーメンを注文した。
「でも、わたしが社長秘書を務めることになるなんて、、、しかも、大企業のアイネスの。人生って、何が起こるか分からないですね。」
わたしがそう呟くように言うと、「そうですね、人生は何が起こるか分からないものです。」と絃士も共感してくれた。



