それからわたしは、新しい仕事が始まるまでの1週間をマルの為に時間を使って過ごした。
家でマルとダラダラとお昼寝をしたり、近くの公園まで散歩に行き、マルのお気に入りのピコピコ鳴るボールを投げ、マルがピョンピョン跳ねながら楽しそうに取りに行き、咥えて持って来るのを繰り返し遊んだり、マルの変形した左後ろ足をマッサージしてあげたり、とにかくずっとマルと寄り添いながら、その幸せな時間を楽しんだ。
そんな1週間もあっという間で、とうとう初出勤日になった。
わたしは朝からスーツに着替え、そんなわたしの姿を見て、また仕事に行くのだとマルは察しているように感じた。
出勤の為に玄関へ向かうと、後ろをトコトコついて来るマル。
「マル、今日からまた仕事なんだ。頑張ってくるね。」
そう言い、マルの頭を撫でると、わたしは「いってきます!」とマルに手を振りドアを閉めた。
株式会社アイネスの本社は、わたしの自宅からバス一本で行けるところにあり、通勤は便利だった。
本社の前に辿り着くと、今まで働いてきた会社とは違い、大きなビルを見上げ圧倒される。
確か、11階と12階がアイネスのフロアで、社長室は12階って言ってたなぁ。
そう思いながらビルの中へ入ると、入ってすぐのところに駅の改札口みたいなのがあり、そのすぐそばに樋井さんの姿があった。
「あ、おはようございます!」
わたしが樋井さんに駆け寄ると、樋井さんはさわやかな微笑みを浮かべ、「おはようございます。今日から宜しくお願いします。」と言った。



