一輪のバラード


わたしはそのあと、颯さんが医療関係者の一家に生まれ、親に敷かれたレールの上を生きてくるしかなく医師を目指した話を聞きながら、お肉を食べながらビールを飲んでいた。

「医療関係者の一家に生まれると、自然とそうなってしまうものなんですね。」
「まぁ、そうなんですかねぇ。でも、俺は他にやりたい事もなかったし、そのまま親に敷かれたレールの上を大人しく生きてきました。」

ちょっとチャラそうに見えて、意外と颯さんも苦労して生きてきたのかもなぁ。

そんなことを思いながら、満腹になったわたしたちは19時頃にお店を出た。

「今日はご馳走でした!」
「いえいえ。今日は、ひかりさんと話せて良かったです!是非、また誘わせてください!」
「焼肉なら大歓迎です。」

そう言って笑い、わたしたちはLINE交換をした。

颯さんは運転代行を呼び、わたしタクシーを呼んで帰宅した。

帰宅すると、いつものようにわたしの帰りを玄関で待ちわびていたマルが、わたしの回りをクルクルと回り、鼻をクンクンさせる。

「あー、焼肉のニオイするよね!ニオイだけのお土産でごめんね!」

わたしはマルのご飯を用意し、マルがご飯を食べている間に先に部屋着に着替え、着ていた服を洗濯機の中に放り込んだ。

そして、ソファーに座るとバッグの中からスマホを取り出す。

すると、颯さんからLINEが届いていた。

{ 今日はありがとうございました!ひかりさんは、やっぱり俺が思っていた通りのサッパリとした良い人でした!また誘わせていただきますね。それでは、おやすみなさい!)

わたしは颯さんにLINEを返信すると、それから樋井さんとのトーク画面を開いた。

樋井さん、もう仕事終わってるかなぁ。

そう思いながら、わたしはトーク画面の上の方にある音声通話ボタンを押した。