一輪のバラード


「桃華、光平さんからのお誘い待ってましたよ?」

わたしがそう言うと、運転席に乗り込んだ光平さんは、「僕、あーゆう女性苦手なんですよね。年齢を偽って、自分を良く見せようとして。どうせ、あとから化けの皮が剥がれるのに。」と言い、わたしは「確かに。」と納得してしまった。

「僕は最初から、ひかりさんとお話がしたかったんです。」
「わたしですか?」
「はい、自然体で男に媚びた感じもなく、本音で話せそうだったので。」
「それ樋井さんにも言われました。わたし、気を抜きすぎてたんでしょうね。桃華と芽衣子はちゃんと着替えて来たのに、わたしは仕事に着て行ったままの服装で化粧だけ直して行ったので。」

わたしがそう言うと、光平さんは「マジですか?!」と笑い、「でも、元々がお洒落なんでしょうね。全然気付きませんでしたよ。」と言ってくれた。

「そういえば、何食べたいですか?」

光平さんの言葉に、わたしは「焼肉!」と答えた。

「いいですね〜、焼肉。じゃあ、焼肉に行きましょうか。」

そう言って、光平さんは車を走らせて行く。

予想はついていたが、到着した焼肉店は明らかに高そうなお店で、さすが医者が行く焼肉店は違うなぁ、と関心している自分がいた。

お店に入ると、光平さんは常連なのか、当たり前のように奥の個室へと案内された。

そして、メニューを開くと「今日は何から飲みますか?」と訊く。

「やっぱり焼肉にはビールじゃないですか?」
「ですよね!メニューは、僕のオススメで頼んじゃいますね。」

光平さんはそう言うと、やって来た店員さんに慣れた感じで注文をしていた。