一輪のバラード


それから、桃華のその日の機嫌は最悪で、光平さんにLINEを送ったのか、返信がきていないか小まめにスマホをチェックしていた。

それから17時の定時になり、わたしたちは3人揃って退社をする。

すると、会社の目の前に白いレクサスが停まっていた。

そのレクサスから降りて来たのは光平さんで、桃華は今日の不機嫌が嘘だったかのように目を輝かせ、「光平さん、わたしを迎えに来てくれたんだ!」と光平さんに駆け寄って行った。

「光平さーん!お疲れ様です!」

そう言って駆け寄って行った桃華は、光平さんに「お疲れ様です。昨日は、どうも。」と言われ軽く会釈されると、桃華の横を通り過ぎ真っ直ぐこっちに歩いて来ると、光平さんはわたしの目の前で立ち止まった。

「ひかりさん、お疲れ様です。」
「あ、お疲れ様です。」
「このあとお時間ありますか?僕とお食事でも行きませんか?」
「え?わ、わたしですか?!」

わたしが驚いていると、桃華が駆け寄って来て、「光平さん!わたしのことは誘ってくれないんですかぁ?」と甘えたような声で光平さんに向かって言った。

「僕は、今日ひかりさんを誘いに来たんです。」

光平さんの言葉に肩を落とし、わたしを睨みつける桃華。

「こないだは、桃華さんと散々喋ったので、今日はひかりさんとお話がしたくて。」
「、、、じゃあ、あまり遅くならない程度なら、、、。」

わたしがそう言うと、光平さんは「ありがとうございます。」と言い、車の方へ促してくれた。

わたしは手を振る芽衣子と睨む桃華に見送られながら、光平さんのレクサスの助手席に乗り込んだ。