「…で、キスとはどういうことなの?知夏さん」



周りを気にしながら、小声で話す花音ちゃん。



「キスされたと言っても、ほっぺなんだよ……?顔についてたご飯粒をぱくって食べられたっていうか…」



ここにされたのって指をさしながら説明する。



「知夏、それほぼ口なんだけど!?口のすぐ横じゃん…!」


「ちがっ、口じゃないから!ほっぺだもん」


「口だと思うんだけどなぁ……」



花音ちゃんが、やれやれって諦めたように言う。

でも、急に何か閃いた顔をした。



「待って。キスしたってことは、名雲がマスク外したってことだよね……!?」


「…あっ見てなかった」


「ええー!折角のチャンスだったのに…」


「だって、ドキドキしすぎてそれどころじゃなくてぇ…」


「さすが知夏……」



花音ちゃんは、まぁいいやって呆れてる。



「それで、知夏は名雲のこと好きになっちゃったんでしょ?」


「へっ?そうなの、かな」


「そうだよ!昼休みのあと、いつも顔赤くしてニヤニヤしながら帰ってくるじゃない」



えっ!?顔赤くなってる自覚はあるけど、ニヤニヤはしてない…!!



「…鏡見た方がいいよ、めっちゃニヤついてるから」



真剣な表情で言う花音ちゃん。

今度、見てみようかな……。