この駅には日本の人口のどれくらいが集まっていて、何ヶ国の人が利用しているんだろう。
この駅は日本で1番利用されているらしく、前に興味本位で調べた。
毎日、沢山の人とこの場所ですれ違うけど、私を見ている人は1人もいない。
今日も疲れた。なんだか体調が良くない。私は学校に通っていた頃熱があると分かっていても、授業が終わるまで保健室には行かず我慢するタイプだった。
自分では自分に対して良くないって分かっているのに、なんだか負けた気分になるのが嫌だった。
何と戦っていたんだろう。
それにしても、こんなに体調が悪いのは久しぶりだ。
熱は、38度くらいはあるだろうか。
もう、歩くのは無理だ。
洸(こう)は邪魔にならない場所を探し座り込んだ。駅のお店のシャッターが降りている中で。
誰も、私を気にしてはいない。大丈夫。私はもう自分の事は自分でできる立派な大人なんだから。
それでも、洸は立ち上がることができずにいた。
もう立ち上がれる気力もない。どうしよう。
『大丈夫ですか?』と女性の声がかすかに聞こえた。
私は顔を上げた。
その女性の顔を見た一瞬、時が止まったかのように感じたのは熱のせいだろうか。
『とりあえず、水持ってきますね。』と女性は言った。
その女性は、そう言った途端に、走り出し水を買いに向かってくれた。
体調が悪いのを忘れるほどに、その女性が声をかけてくれた事に驚き、その女性をまじまじと見ている自分がいた。
名前もまだ知らないその女性は、髪は高い所で一つにまとめてある。ポニーテールといったかな。センター分けが良く似合っている人だった。
水を持ったその人が急足でこちらへ帰ってきたら。
『ごめんなさい。遅くなって。』と女性。
その女性は、タオルと水をくれた。
『ありがとうございます。』と私。
私は水を飲むとほんの少し体調が戻った気がした。
顔を女性の視線に移すと、女性は笑顔で私を見守ってくれていた。
その笑顔を見た途端に涙が頬を伝った。
日頃、泣くなんて事はないのにどうしてだろう。涙が止まらない。立派な大人が泣くなんてきっとおかしい人だと思われただろう。
そう思っていると、女性は言った。
『大丈夫。大丈夫。』と私を落ち着かせるように。
女性は言う、『体調が良くない時は、良くないって、言って良いんですよ。自分の心にも職場の人にも。自分にも相手にも気持ちを素直に言わないと本当に大事な決断をする時に自分の気持ちに素直に決める事はできませんから。』と優しく声をかけてくれた。
私が歩けるようになるまで彼女はそばにいてくれた。
その女性は最後まで『大丈夫ですか?』と言ってくれ、心配だからと連絡先を交換し、その女性とは別れた。
私はなんとか家に着いて、すぐに布団に入った。
毎朝通るあの駅は、人が多すぎて好きではなかったけど、あの女性とあの場所で過ごした時間は特別で忘れないでいたいと思った。
熱があって、疲れていたのもあってすぐに眠りについた。
夢の中で、あの女性がかすかにでてきてまた、「自分に素直に」とあの言葉をかけてくれたような気がした。
朝になったら、昨日の事が嘘のかのように熱は下がっていた。
携帯に目をやると真白(ましろ)という人からメッセージが来ていた。
真白、誰だろうと一瞬思ったが、昨日、助けてくれた女性だとすぐに理解した。
なぜだか不思議と頬が緩んだ。
真白という名前なんだ。彼女にぴったりな名前だと思った。
メッセージは、とても丁寧な言葉づかいで私を気遣った言葉が書かれていた。
私は、ここまで赤の他人を心配してくれる人がいるんだなぁと感心しつつ、彼女にお礼がしたいと思った。
この駅は日本で1番利用されているらしく、前に興味本位で調べた。
毎日、沢山の人とこの場所ですれ違うけど、私を見ている人は1人もいない。
今日も疲れた。なんだか体調が良くない。私は学校に通っていた頃熱があると分かっていても、授業が終わるまで保健室には行かず我慢するタイプだった。
自分では自分に対して良くないって分かっているのに、なんだか負けた気分になるのが嫌だった。
何と戦っていたんだろう。
それにしても、こんなに体調が悪いのは久しぶりだ。
熱は、38度くらいはあるだろうか。
もう、歩くのは無理だ。
洸(こう)は邪魔にならない場所を探し座り込んだ。駅のお店のシャッターが降りている中で。
誰も、私を気にしてはいない。大丈夫。私はもう自分の事は自分でできる立派な大人なんだから。
それでも、洸は立ち上がることができずにいた。
もう立ち上がれる気力もない。どうしよう。
『大丈夫ですか?』と女性の声がかすかに聞こえた。
私は顔を上げた。
その女性の顔を見た一瞬、時が止まったかのように感じたのは熱のせいだろうか。
『とりあえず、水持ってきますね。』と女性は言った。
その女性は、そう言った途端に、走り出し水を買いに向かってくれた。
体調が悪いのを忘れるほどに、その女性が声をかけてくれた事に驚き、その女性をまじまじと見ている自分がいた。
名前もまだ知らないその女性は、髪は高い所で一つにまとめてある。ポニーテールといったかな。センター分けが良く似合っている人だった。
水を持ったその人が急足でこちらへ帰ってきたら。
『ごめんなさい。遅くなって。』と女性。
その女性は、タオルと水をくれた。
『ありがとうございます。』と私。
私は水を飲むとほんの少し体調が戻った気がした。
顔を女性の視線に移すと、女性は笑顔で私を見守ってくれていた。
その笑顔を見た途端に涙が頬を伝った。
日頃、泣くなんて事はないのにどうしてだろう。涙が止まらない。立派な大人が泣くなんてきっとおかしい人だと思われただろう。
そう思っていると、女性は言った。
『大丈夫。大丈夫。』と私を落ち着かせるように。
女性は言う、『体調が良くない時は、良くないって、言って良いんですよ。自分の心にも職場の人にも。自分にも相手にも気持ちを素直に言わないと本当に大事な決断をする時に自分の気持ちに素直に決める事はできませんから。』と優しく声をかけてくれた。
私が歩けるようになるまで彼女はそばにいてくれた。
その女性は最後まで『大丈夫ですか?』と言ってくれ、心配だからと連絡先を交換し、その女性とは別れた。
私はなんとか家に着いて、すぐに布団に入った。
毎朝通るあの駅は、人が多すぎて好きではなかったけど、あの女性とあの場所で過ごした時間は特別で忘れないでいたいと思った。
熱があって、疲れていたのもあってすぐに眠りについた。
夢の中で、あの女性がかすかにでてきてまた、「自分に素直に」とあの言葉をかけてくれたような気がした。
朝になったら、昨日の事が嘘のかのように熱は下がっていた。
携帯に目をやると真白(ましろ)という人からメッセージが来ていた。
真白、誰だろうと一瞬思ったが、昨日、助けてくれた女性だとすぐに理解した。
なぜだか不思議と頬が緩んだ。
真白という名前なんだ。彼女にぴったりな名前だと思った。
メッセージは、とても丁寧な言葉づかいで私を気遣った言葉が書かれていた。
私は、ここまで赤の他人を心配してくれる人がいるんだなぁと感心しつつ、彼女にお礼がしたいと思った。
