とくべつな人

ユウイチとサヤカは、うどんを食べた後、しばらく、歩いていた。

「どこへ行く?」

 とユウイチは、サヤカに訊ねた。

 どうしたいのか、とふと思った。

 道路には、京急バスが、走っていた。

 今日は、晴れていた。

 そのまま歩くと、そこには、レジャーホテルが、あった。

 そして、その時、ユウイチは、サヤカの身体を思わず見てしまった。

ー欲しいな

 とか思いながらも

ー言えないな

 とも思った。

 バス停から、数分のところにあった。

ーいや、行きたいと思っているが、プライドのせいか、言えないな

 とユウイチは、思っていた。

 本当は、人一倍、そういう身体への興味はあったのに、と思った。

 その時だった。

ーペチャ

 と音が、した。 

 空の上から、鳥が飛んでいたが、ユウイチの額に、鳥の糞がついた。

「今さ、鳥の糞がついたよ~」

 と言った。

 その時だった。

 サヤカは

「額を綺麗にしようか」

 とハンカチで拭いたが

「運が向いてきたよ。新年は、ここで綺麗にしよう」

 と言って、レジャーホテル「海の街」へ入った。

 その時は、サヤカは、すっとユウイチの腕を引っ張った。

 サヤカは、赤色の下着、だった。

 そして、歯ブラシをして、風呂に入って、ユウイチもサヤカも身体を洗って、ユウイチは、サヤカの見かけによらず、豊満な身体を見やった。勿論、緊張はしていて、慣れていなかったが、その内、何度か二人で楽しんだ。

 そして、その日は、二人とも、そこで夜を過ごして、朝までいた。

 次の日だった。

 2025年1月3日。

 朝、京急堀之内駅から、横浜駅まで帰ろうとした。

 すると

ー只今、京急が、沿線で火事になっています。

ー振替輸送をしています

 とアナウンスが、流れた。

 ユウイチとサヤカは、ドキッとした。

 そうだなぁ、と思った。

 しかし、JR横須賀線で帰らなくても済んだらしい。

 だが、ユウイチとサヤカは、ドキドキしていた。

 もしも、京急の堀之内駅辺りで、火災になっていたら、どうしようと思った。そして、ツィッターでも、Yahoo!のニュースでも、「京急の○○駅から○○駅までストップしている」なんて報道されていた。

 そして、2025年1月4日。

 正月休みが、終えて、ユウイチもサヤカも仕事をしていた。

 ところが、ユウイチは、ここで、熱がどんどん上がってきて、咳がコンコンしていた。

 そして、病院へ行くと、お医者さんは、「インフルエンザ」と言った。

 ユウイチは、飲食店で、仕事をしているが、しばらく、たこ焼きの仕事ができなくなった。

 たまたま、LINEで、連絡があったサヤカが、ユウイチの家に来て、看病をした。

 病院も製薬会社も、インフルエンザになったら服用する薬が、供給不足になっているとニュースで放送されていた。

 新聞では、厚生労働省の方針で、とか、新型肺炎コロナウイルス症の影響が、まだある、なんて報道されていた。

 ある会社では、新年会をしようとしたら、職員が、インフルエンザで、中止になったのだとか。

 または、ある大学の講師も、インフルエンザで、講義を休まないといけない、学生は、レポートだけになるとか。

 そんな悲鳴が、テレビニュースとかネットニュースでは、放映されていた。

 そして、2025年1月11日。

 世間では、日本海側を中心に厳しい寒波になっている。

 気象庁が、「不要不急の外出はしない」

 と言っていた。

 薬が、なかなか、手に入らなかったが、何とか、ユウイチは、サヤカの看病を受けながら、おじやを食べて、うどんを食べていたら、数日、休んだら、治った、インフルエンザも。

 その間、サヤカは、ずっと、ユウイチの傍にいた。

 そして、ユウイチは、ずっと「サヤカ」「サヤカ」「もう、ずっと傍にいてほしい

」と言った。

 サヤカは、ユウイチの部屋から、会社に出勤していた。

 サヤカは、自分の部屋に戻らなかった。

 サヤカは、散らかっていたユウイチの部屋も片付けた。

 時折、エロ本が出てきて、使ったティッシュもあった。

 しかし、そうではなく、寂しいのだ、と気がついた、サヤカは。

 そして、インフルエンザが、治った朝、ユウイチは、サヤカと話をしていた。

 朝、スクランブルエッグと焼いたトースター、ホットコーヒーがあった。

 向こう側には、アイドルの山本彩のポスターが、あった。

「おはよう」

「おはよう」

「あのさ」

「はい」

「話があるんだ」

 と言った。

 そして、ユウイチは、立って、壁にある山本彩のポスターを

ーべりッ

 と破った。

「もうさ、山本彩ちゃんは、もう用がないよ」

「え」

「オレと一緒にいてくれ」

「え」

「それって」

「もう、結婚したいな」

 と言った。

 それは、2025年1月の末だった。ユウイチにとって、とくべつな人は、サヤカだったらしい。<完>