「何がずるいんだ?」


まったくわかっていない様子。


・・・それがずるい。


私にもあまり見せない浩輔の優しい表情。


それを古部先生に見せた。


古部先生が引き出した。


緋那は古部先生のこと、許したわけではない。


しかし、古部先生は詩苑女子学院にはいなくてはいけない存在なのだ。


「古部先生は、月なんでしょう?じゃぁ、私は?」


月、なんて羨ましい。


それって、傍で静かに見守っているってことだ。