「でも、違う。そうでしょう」 眼鏡の奥の眸が笑っていない。 「知っているのよ」 何も言わない私を見て、ため息をついた。 「あの人は、私のこと綺麗と言った」 綺麗・・・? 「お世辞でも嬉しかった」 そのことを思い出しているだろう。 ほんのり赤く染まっている頬。 「でも、あの人は私のこと見捨てた。他の女と婚約までした」