月夜に照らされているせいか、いつもより輝いている。 「あぁ。きれいだよ」 彼女が望むような答えを返してあげる。 その答えに微笑む。 「だよね。私はきれい」 呪文のように呟く。 「だから、あの人はおかしいよね。婚約解消とか言い出して」 そこにその人がいるかのように、言う。 「私が一番きれいなのよ。ねぇ、浩輔」 その名は、五十嵐先生の名だった。