私の父は、荻原家の長男だった。


一人息子で、すごく可愛がられた。


一方、母は資産家の娘で「政略結婚」として夫婦になった。


お互い愛はなかったけれども、充実した日々をすごした。


何年か経つ内に、お互い惹かれ始めた。


互い言葉にしないけれども、愛し合っている。


それだけは確かだった。


父は、まじめででも優しくて。


母も優しくて、美しかった。


その後、私が生まれた。


母はかわいがった。


ある日、身代金目的で母がさらわれた。