The previous night of the world revolution4~I.D.~

四方八方を海で囲まれ。

外部との連絡手段もなく。

俺達はこの船で、煮るなり焼くなり、好きにされるしかないのだ。

成程、悪天候だとか何だとか言って、頑なに上陸しない訳だよ。

そもそもこの「旅行」そのものが、偽物なのだ。

この船は、道中何処にも立ち寄らない。

「…何処に向かってるんでしょうね?この船…」

「さて…。未開の地に連れていかれて、俺達だけ船から突き落とされたら、俺達はそこの原住民にならなきゃいけなくなるな」

そんな状況になっても、生きることは諦めないんだね、ルリシヤは。

そういう諦めの悪いところ、俺は好きだよ。

まぁ、三人バラバラに投げ捨てられるんじゃないなら、希望はある。

ルルシーさえいてくれれば、何とでもなるよ。俺の人生なんて。

「…そもそも、何で俺達が狙いなんだ?『青薔薇連合会』の幹部だってバレてるってことか」

と、ルルシー。

「俺達三人が揃って狙われるってことは、そうなんでしょう」

職業柄、誰に恨まれてても不思議じゃないからな。

俺達に恨みを持つ誰かが、こんな大がかりな罠を仕掛けた可能性は高いが…。

俺達を洗脳して、何がしたいんだか。

あまり想像したくはないな。

「せめて首謀者が誰なのか分かれば、相手の目的も推測出来るんだがな…」

「…首謀者…」

…そうだな。

この船の目的地も、あの『白亜の塔』の仕組みも気になるが。

それよりも、首謀者の正体が何者なのか。

こちらの方が、余程気になる。