…さて、話を戻そう。
先程も述べたように、『白亜の塔』はとんでもない代物である。
更に、船で提供される飲食物にも、恐らく少量ずつ薬物が仕込まれている。
だが、俺達はマフィアだ。三人共、こういった洗脳薬物や自白剤を投与されたときの為に、薬物耐性がついている。
だから、薬物はそれほど…少なくとも、気づかれないように飲食物に混ぜ込む程度では、大して効き目がない。
それなのに、どうして俺達がこれほどまでに悪夢を見させられているのか。
それは…恐らく。
「船内に流れてる…あのシェルドニアの民族音楽」
「…客室以外、どの部屋でも常に流れてる、あの独特の音楽だな?」
「えぇ。俺達はあれを、勝手にシェルドニアの民族音楽だと思い込んでましたが…」
…多分、あれは違う。
これが本当の、洗脳ソング、って奴だ。
笑えない冗談だろう?
『frontier』の曲も俺にとっては洗脳ソングだが、こっちは同じ言葉でも、意味が全く違う。
「いやに頭の中に残る音楽だと思っていたが…そういうことだったのか」
「しかも、あれ…夜中、俺達が寝ている間だけは、客室にも流れてるぞ。今は三人共起きてるから流れてないが…」
と、ルリシヤ。
だろうね。俺もそう思う。
恐らく、監視カメラで確認されているのだ。
寝ている間だけ、あの洗脳ソングを流してる。
だから、起きたときにあの曲が頭の中に残っているのだ。
「薬物になら耐性があるが…さすがに聴覚で洗脳されたら、手の打ちようがないな」
「全くですよ」
耳でも塞ぐか?
それとも、スピーカーの方をぶっ壊すか?
いずれにしても、洗脳船の要、あの『白亜の塔』を叩き折らない限りは、どうしようもない。
まさか泳いで逃げる訳にはいかないのだから。
「しかし…ルレイア。あの音楽や、展望台が洗脳道具なのだとしたら…この船に乗ってる連中も、一緒に洗脳されてるってことか?」
「まぁ、そうなるでしょうね」
この船の正体を知っていて、俺達を惑わすサクラとして乗船しているのか。
それとも、本当にただの旅行のつもりで乗船して、巻き込まれただけなのか。
俺は前者ではないかと思うが…。
いずれにしても、この船に乗っている限り、彼らは既に洗脳されているか、それともこれから知らず知らずのうちに洗脳されていくか、どちらかだ。
「…不味いな。こんな大海原のど真ん中じゃ…逃げ出しようもないぞ」
「…それなんですよねぇ…」
それが一番困る。
この船の一番の問題は、この船が船であることだ。
やべぇからって、逃げられないんだよ。
途中で降りる訳にはいかない。
洗脳されていると分かっていても、乗っていなければいけないのだ。
おまけに。
「…外部との連絡手段も、既に絶たれている」
ルリシヤは携帯を弄びながらそう言った。
そう。それなんだよ。
「いつの間に…圏外に」
「さて…俺達がもう戻れない段階に入ったから、通信手段を絶ったんでしょう。こうなれば、外部と連絡を取って助けてもらう訳にもいかない」
俺達は今、袋のネズミ、って奴なのだ。
先程も述べたように、『白亜の塔』はとんでもない代物である。
更に、船で提供される飲食物にも、恐らく少量ずつ薬物が仕込まれている。
だが、俺達はマフィアだ。三人共、こういった洗脳薬物や自白剤を投与されたときの為に、薬物耐性がついている。
だから、薬物はそれほど…少なくとも、気づかれないように飲食物に混ぜ込む程度では、大して効き目がない。
それなのに、どうして俺達がこれほどまでに悪夢を見させられているのか。
それは…恐らく。
「船内に流れてる…あのシェルドニアの民族音楽」
「…客室以外、どの部屋でも常に流れてる、あの独特の音楽だな?」
「えぇ。俺達はあれを、勝手にシェルドニアの民族音楽だと思い込んでましたが…」
…多分、あれは違う。
これが本当の、洗脳ソング、って奴だ。
笑えない冗談だろう?
『frontier』の曲も俺にとっては洗脳ソングだが、こっちは同じ言葉でも、意味が全く違う。
「いやに頭の中に残る音楽だと思っていたが…そういうことだったのか」
「しかも、あれ…夜中、俺達が寝ている間だけは、客室にも流れてるぞ。今は三人共起きてるから流れてないが…」
と、ルリシヤ。
だろうね。俺もそう思う。
恐らく、監視カメラで確認されているのだ。
寝ている間だけ、あの洗脳ソングを流してる。
だから、起きたときにあの曲が頭の中に残っているのだ。
「薬物になら耐性があるが…さすがに聴覚で洗脳されたら、手の打ちようがないな」
「全くですよ」
耳でも塞ぐか?
それとも、スピーカーの方をぶっ壊すか?
いずれにしても、洗脳船の要、あの『白亜の塔』を叩き折らない限りは、どうしようもない。
まさか泳いで逃げる訳にはいかないのだから。
「しかし…ルレイア。あの音楽や、展望台が洗脳道具なのだとしたら…この船に乗ってる連中も、一緒に洗脳されてるってことか?」
「まぁ、そうなるでしょうね」
この船の正体を知っていて、俺達を惑わすサクラとして乗船しているのか。
それとも、本当にただの旅行のつもりで乗船して、巻き込まれただけなのか。
俺は前者ではないかと思うが…。
いずれにしても、この船に乗っている限り、彼らは既に洗脳されているか、それともこれから知らず知らずのうちに洗脳されていくか、どちらかだ。
「…不味いな。こんな大海原のど真ん中じゃ…逃げ出しようもないぞ」
「…それなんですよねぇ…」
それが一番困る。
この船の一番の問題は、この船が船であることだ。
やべぇからって、逃げられないんだよ。
途中で降りる訳にはいかない。
洗脳されていると分かっていても、乗っていなければいけないのだ。
おまけに。
「…外部との連絡手段も、既に絶たれている」
ルリシヤは携帯を弄びながらそう言った。
そう。それなんだよ。
「いつの間に…圏外に」
「さて…俺達がもう戻れない段階に入ったから、通信手段を絶ったんでしょう。こうなれば、外部と連絡を取って助けてもらう訳にもいかない」
俺達は今、袋のネズミ、って奴なのだ。


