The previous night of the world revolution4~I.D.~

全くふざけた塔だ。

SFかよ。俺はそういうの好きじゃないんだが?

「目に見えない音響波で…悪夢を誘発する…?そんな技術が…」

「薬物でというのはいくらでもありますが、目に見えない音響波ってのは面白いですねー。本当SFみたい」

そんな技術を開発していた、っていうのがまず驚きだよな。

多分、他人が自分の思い通りにならないと気が済まないタイプなんだろう。

気持ちが分からん訳ではないが、そんな夢物語を実現させようという、その熱意は凄いと思う。

その熱意をもっと別の方向に向けていたら、立派になれただろうに。

なんて、今更言っても栓ないことではあるが。

「感心してる場合じゃないぞ、ルレイア。もしそれが本当なら…!」

「まぁちゃんと確証がある訳じゃありませんけど…。事実、俺があの塔に行った日の晩は、酷い悪夢を見ています」

「…!」

元々、あの塔には何かあるなと思っていた。

でも、あの塔は展望台に見えて、実は電波塔なのだ。

そう考えれば納得が行く。

「昼間に塔に行って、さっき酷い悪夢を見た。それで確信しました。あの塔が、洗脳船の主軸なんでしょう」

「…!お前、それが分かってて、昼間に塔に行ったのか!?」

「えぇ。これで本当に悪夢を見たら確定だなって思って、実験がてら…」

「何が実験だ。この馬鹿!」

「あいたっ!」

ルルシーに、後頭部ひっぱたかれた。

「何するんですかぁ…」

「何するんですかじゃねぇ。ふざけた実験すんな!」

こんなに怒られるとは。

あれ?これルルシー、激おこルルシーインフェルノでは?

「それならそうと言えば、俺が代わりに行ったのに…!」

「でも、それだとルルシーが悪夢を見ることに…」

「喧しい!お前が見るより百倍マシだ馬鹿。一人で危険なことをするなって、何万回言えば分かるんだお前は!アリューシャでももうちょっと学習能力があるわ!」

ルルシー。それはアリューシャに失礼では?

「だから、俺が代わりに行くって言ったのに。ルルシー先輩を怒らせ…」

と、ルリシヤが言いかけると。

ルルシーは、ルリシヤにも牙を剥いた。

「お前も喧しい!お前が行っても同じことだろうが!」

大変。ルルシーがおこだわ。

激おこルルシーカムチャッカインフェルノだ。

「大体お前ら、自分達二人だけで『何もかも分かってる』みたいなドヤ顔かまして、悪夢見ると分かってて自分から危ない場所に突っ込むんじゃねぇ!この馬鹿!」

「ご、ごめんなさいって…。俺が悪かったですよぅ」

「あぁそうだ。お前が悪い!」

ヤバいヤバい。めっちゃ怒ってるよこれ。