The previous night of the world revolution4~I.D.~

「ルリシヤ、起きてます?」

「あぁ、ルレイア先輩。元気か?」

「元気ですよ。一応」

「そうか。それは良かった」

真夜中だというのに、ルリシヤは寝ていなかった。

それどころか煌々と明かりをつけて、しかもテーブルと椅子を重ね、その上に乗って。

何やら、エアコンを弄っていた。

俺はそれを見て、あーやっぱり、と思ったが。

ルルシーは、怪訝そうな顔で、

「…ルリシヤ、お前何やってる?」

と、尋ねた。

「ん?盗聴器外してる」

「は!?」

やっぱりあったんだな。盗聴器。

「実は初日から見つけてたんだがな。まぁ防犯上やむを得ないのかと思ってスルーしていたが…それどころの話じゃなくなってきたから、外すことにした。ちょっと椅子、支えててくれないか」

「分かりました」

絶句しているルルシーを横に、俺はルリシヤが乗ってる椅子を支えてあげた。

ルリシヤは慣れた手つきで、ドライバーとニッパーを駆使して、小型盗聴器を取り外していた。

さすがである。

こういう小細工は、俺よりルリシヤの方が得意だよな。

「しかしルリシヤ。今更外しても遅い…と言うか、外したらすぐバレるのでは?」

「それはもうお互い様じゃないか?」

まぁそうなんだけど。

「それに…向こうの会話は聞けないのに、こっちの会話だけは筒抜けなんて、ムカつくからな。仕掛けられたら仕掛けられた傍からぶっ壊して、向こうの在庫を切らしてやろうかと思って」

「なぁるほど、確かに。じゃあ後で、俺の部屋の盗聴器もぶっ壊しといてください」

「分かった」

そう言うなり、ルリシヤは取り外した盗聴器をバキッ、と潰して壊した。

「ちょ、ちょっと待てお前ら。何の話だ」

すると、事情がいまいち掴めなかったらしいルルシーが会話に入ってきた。

「何の話と言っても…ルルシー先輩…」

「うーん…。俺もあんまり言いたくないんですけどねー…」

知らないのなら、知らないままの方が良い。

しかし、ルルシーは。

「良いから言え」

…まぁ黙ってる訳にはいかないよな。

盗聴器もぶっ壊したことだし、遠慮なく言うか。

「ルルシー。俺達嵌められたんですよ」

「…嵌められた…?」

『青薔薇連合会』の幹部たる俺達を、ここまで綺麗に罠に嵌めるとは。

全く、やってくれるよ。