「…ルレイア。何の話をしてたんだ?」
シェルドニア語を解さないルルシーが、俺に尋ねてきた。
何の話…わざわざ訳して聞かせるほどの話もしていないが。
「俺が『上陸出来なくて暇ですね』って言ったら、あの人の大好きな展望台を勧めてくれましたよ。ってな訳で俺、食事が終わったらちょっと『白亜の塔』に上ってきます」
「また展望台…?一昨日も行っただろう」
「何度上っても楽しいらしいですよ。あの人曰く」
「…あ、そう。なら俺も行くよ」
ルルシーなら、当然そう言うと思った。
如何せん、先日展望台に上ったとき、俺は寝落ちしてしまったからな。
ルルシーも、俺を一人で行かせるのは心配なのだろう…けど。
「大丈夫ですよ。俺一人で言ってくるので」
「何でだよ。俺も行く」
「ルルシー、あなた昨日は夢見が悪かったんでしょう?部屋で良い子にしていた方が良いですよ」
「それはお前もだろ。俺に大人しくしろって言うなら、お前も大人しくしてろ」
もールルシーったら。我が儘なんだから。
そうじゃないんだよ。
「大丈夫。少し風に当たってくるだけです。一瞬だけ。すぐ戻りますから」
「…でも…」
「…ルレイア先輩。行くなら俺が行こう」
ルリシヤは、真剣そのものの眼差しで俺にそう言った。
…ルリシヤったら。さすが俺の見込んだ後輩。
俺と同じことを…彼も気づいているのだ。
だから、俺の代わりに自分が行こうとしている。
でも…過去の傷が痛むのは、ルリシヤとて同じこと。
しかも、俺にはルルシーという救世主がいるが…ルリシヤにはいないのだ。
だから、ルリシヤに行かせる訳にはいかない。
「いいえ、俺が一人で行きます」
「…ルレイア先輩」
「すぐ戻ってきますよ」
これは、ある種の賭けだ。
俺の懸念が、もし真実だったとしたら…。
そのときは、本当に不味いことになるかもしれない。
シェルドニア語を解さないルルシーが、俺に尋ねてきた。
何の話…わざわざ訳して聞かせるほどの話もしていないが。
「俺が『上陸出来なくて暇ですね』って言ったら、あの人の大好きな展望台を勧めてくれましたよ。ってな訳で俺、食事が終わったらちょっと『白亜の塔』に上ってきます」
「また展望台…?一昨日も行っただろう」
「何度上っても楽しいらしいですよ。あの人曰く」
「…あ、そう。なら俺も行くよ」
ルルシーなら、当然そう言うと思った。
如何せん、先日展望台に上ったとき、俺は寝落ちしてしまったからな。
ルルシーも、俺を一人で行かせるのは心配なのだろう…けど。
「大丈夫ですよ。俺一人で言ってくるので」
「何でだよ。俺も行く」
「ルルシー、あなた昨日は夢見が悪かったんでしょう?部屋で良い子にしていた方が良いですよ」
「それはお前もだろ。俺に大人しくしろって言うなら、お前も大人しくしてろ」
もールルシーったら。我が儘なんだから。
そうじゃないんだよ。
「大丈夫。少し風に当たってくるだけです。一瞬だけ。すぐ戻りますから」
「…でも…」
「…ルレイア先輩。行くなら俺が行こう」
ルリシヤは、真剣そのものの眼差しで俺にそう言った。
…ルリシヤったら。さすが俺の見込んだ後輩。
俺と同じことを…彼も気づいているのだ。
だから、俺の代わりに自分が行こうとしている。
でも…過去の傷が痛むのは、ルリシヤとて同じこと。
しかも、俺にはルルシーという救世主がいるが…ルリシヤにはいないのだ。
だから、ルリシヤに行かせる訳にはいかない。
「いいえ、俺が一人で行きます」
「…ルレイア先輩」
「すぐ戻ってきますよ」
これは、ある種の賭けだ。
俺の懸念が、もし真実だったとしたら…。
そのときは、本当に不味いことになるかもしれない。


