The previous night of the world revolution4~I.D.~

…三人が揃って、二日も連続で悪夢を見るなんて、普通じゃない。

それは言うまでもなく明らかだが。

だからと言って、俺達に何が出来る訳でもなかった。

悪夢を見なくなる方法なんて、知らないしな。

とりあえず夢のことは脇に置いておいて、俺はその日、一日ぶりに三人で船内のレストランに食事に行った。






「俺達がなんか変だと思ったら、船の方も不調ですねぇ」

「船と言うか…お天道様の不調だがな」

今日こそは、延期されていた上陸が出来るはずだったのに。

相変わらず天候が優れないとして、今日も上陸はなし、と。

先程船内放送で言われた。

折角豪華客船の船旅なのに、上陸出来ないんじゃ船の中に閉じ込められてるだけじゃないか。

「二日も連続で海上に待機とは…。運が悪いな…」

「全くですよ」

運が悪い、か。

運が悪い程度の話で済めば良いと思っているのだが。

すると、そこに。

「一昨日ぶりだな」

「…あ」

超思わせ振りなシェルドニア人のなんちゃってガイド青年、あらわる。

こいつ…昨日姿を見なかったと思えば。

俺が客室を出た途端、早速現れやがったぞ。

「どうも。ご無沙汰してますね」

「あぁ…」

「今日も上陸出来なくて残念だな」

「…」

俺が話しかけたら返事するのに。

ルリシヤに対しては、反応が良くないな?

「さすがに船の中で過ごすには、暇になってきましたね。何処かお勧めの場所、ありません?」

「…フィットネスルームで身体を動かしてくるのはどうだ?」

確かに。良いかもね。

身体、鈍ってきてるし。

それは良い考えなのだけど、しかしここで問題が。

「実は俺、今あまり体調が良くなくて。疲れることは避けたいです」

「そうか…。なら…やはり、『白亜の塔』に上ると良い」

「…あなた、やけにあの展望台ばかり勧めてきますね?」

まるであの場所に「何か」があるかのようじゃないか。

「俺はあの場所が、一番のお気に入りだからな…。あそこならいくらでも時間を潰せるし、気分も落ち着く」

「ふぅん…」

そりゃ結構なことで。

「あるいは…甲板のデッキチェアでくつろぐのも良いかもしれない。今日は良い風が吹いているからな」

「そうですか」

甲板…丁度、展望台の真下に位置する場所だ。

「分かりました。考えておきます…。明日こそは、入港出来ると良いですね」

「そうだな」

彼はそう答えて、俺達のテーブルから離れていった。

ふむ、ふむ。成程。成程ね…。